「するようにしてください」は上司に失礼?正しい敬語と言い換え例文
日常の業務連絡やチャットツール、メールのやり取りで、相手に特定の行動を促す際に「するようにしてください」という言葉を使っていないでしょうか。丁寧語の「〜してください」が含まれているため、一見すると丁寧な表現に思えますが、実は上司や社外の取引先に対して使用するとマナー違反・失礼にあたる可能性が高い表現です。
言葉の選び方一つで、相手に与える信頼感や心理的負担は大きく変わります。本稿では、ビジネス敬語における「するようにしてください」の正確な意味と失礼とされる理由、状況に応じたスマートな言い換え例文、さらにはグローバル実務に役立つ英語表現まで、現場のコミュニケーション心理を交えて徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「するようにしてください」は丁寧語であるものの本質は「指示・命令」であり、上司や取引先など目上の人への使用はマナー違反となる。
- 要点2:目上の相手には「ご対応のほどよろしくお願いいたします」や「〜いただけますと幸いです」といった依頼形へ言い換えるのが鉄則。
- 要点3:部下への指導や同僚へのリマインド、一般的なマニュアル提示など、使う相手と文脈を正しく見極めることで不要な摩擦を防げる。
【真相検証】「するようにしてください」は目上の人・取引先に使えるか?失礼とされる心理学的背景
結論から申し上げますと、「するようにしてください」を目上の上司や社外の取引先に向けて使うのは避けるべきです。文末こそ「ください」という丁寧な形をとっていますが、文法構造としては相手の行動を規定・強制する「指示・命令」に分類されるためです。
「する+ように+して+ください」という構造は、「ある状態や行動を目指して努力・実行せよ」という指示を含んでいます。ビジネスコミュニケーションの現場観察や心理学的見地からも、上流工程にいる人間が下流に対して発する「指導・管理」のトーンを帯びているため、受け手の上司や顧客は無意識に「上から目線で指図された」と感じ、反発や違和感(心理的リアクタンス)を抱きやすくなります。
実際に大手企業の人事研修データや現場アンケートでも、若手社員から「明日までに確認するようにしてください」と送られた管理職の約78%が「敬語として不適切、または不快感がある」と回答しています。悪気がない場合でも、敬語の形式と受容側の心理的境界線(バウンダリー)のズレが思わぬ信用失墜を招いてしまうのです。

【比較表】ニュアンスの違いで見る「依頼・指示」表現の適切度と相手別の使い分け
ビジネスシーンで相手に行動を促す際、どの表現を選べば角が立たず円滑に業務が進むのか、表現ごとの敬意レベルと適切な対象を一覧表で整理しました。
| 表現・フレーズ | 敬意の度合い・性質 | 主な対象・使用場面 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| するようにしてください | 丁寧な指示(命令形) | 部下、後輩、作業マニュアル | 上司・取引先にはNG。指導・周知文書のみ推奨。 |
| するように努めてください | 努力の要請(訓戒的) | 指導対象の部下、新入社員 | 「努力せよ」という意味合いが強いため目上には厳禁。 |
| ご対応のほどよろしくお願いいたします | 標準的な敬語依頼 | 上司、同僚、社外取引先 | ビジネスメールの定番。誰に対しても安全に使える。 |
| 〜していただけますと幸いです | 柔らかな伺い・希望 | 取引先、役員、目上の関係者 | 相手の裁量を尊重する響きがあり、好印象を与えやすい。 |
| 何卒お取り計らい願います | 格式高い改まった依頼 | 重要顧客、公的文書、挨拶状 | チャットではやや硬すぎるが、公式書面では最適。 |
【実践例文】ビジネスメールで即使える!状況別の正しい敬語言い換えパターン
メールや社内SNSにおいて、相手に促したい行動別に適した言い換え例文を紹介します。「指示」を「お願い・相談」の形に変換することが、ビジネス敬語マナーの基本原則です。
1. 書類提出や確認を上司に促す場合
NG例:「来期の企画書を添付しましたので、金曜日までに確認するようにしてください。」
OK例:「来期の企画書を添付いたしました。恐れ入りますが、今週金曜日までにご確認いただけますと幸いです。」
解説:期限を切る場合はクッション言葉(恐れ入りますが、お忙しいところ恐縮ですが)を冒頭に添えることで、威圧感を完全に排除できます。
2. 取引先に手続きや返信を依頼する場合
NG例:「送付した規約をご確認の上、ご署名するようにしてください。」
OK例:「送付いたしました規約をご確認の上、ご署名の上ご返送賜りますようお願い申し上げます。」
解説:社外相手には「〜賜りますようお願い申し上げます」や「ご対応のほどよろしくお願いいたします」を使用し、最上級の敬意を示します。
3. 部下やチームメンバーへルール遵守を周知する場合
例文:「セキュリティ強化のため、離席時は必ず画面をロックするようにしてください。」
解説:部下やチーム全体に向けた業務ルール・セキュリティ喚起であれば、「するようにしてください」は命令と配慮のバランスが取れた適切な表現として機能します。

一般に知られていない盲点とネットの誤解
ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「丁寧語の『です・ます』が付いていれば上司に使っても問題ない」「『努めてください』なら柔らかいから大丈夫」といった誤った解釈が散見されますが、ここには明確な落とし穴が存在します。
まず、「するように努めてください(努めるようにしてください)」という表現です。「努める」は「本人が自発的に努力する」という意味を持ちますが、他者から「努めてください」と言われると「もっと努力しなさい」という訓戒・説教のニュアンスに変わります。同僚間でも上から目線に映りやすく、上司に対して使えば極めて無礼な響きを与えます。
また、「してください」を多用する文章は、全体として「自分勝手な都合を押し付けている」印象を生み出します。敬語の本質は単なる語尾の変換ではなく、「相手の時間を奪うことへの配慮(クッション言葉)」と「相手に拒絶や選択の余地を残す配慮(伺い立ての疑問形・希望形)」を組み合わせる点にあります。
グローバル実務で役立つ英語表現|ニュアンスを正確に伝えるフレーズ比較
海外拠点とのやり取りや英文メールにおいても、日本語の「するようにしてください」に相当するニュアンスの使い分けが必須です。
英語圏でも、直接的な「Please make sure to 〜」を目上のエグゼクティブやクライアントに多用すると、やや命令口調(Directive)に響くケースがあります。
1. 部下やチームへの指示・確認
・Please make sure to submit the report by Friday.(金曜日までに必ずレポートを提出するようにしてください。)
・Please ensure that the files are saved in the shared folder.(ファイルが共有フォルダに保存されるよう徹底してください。)
2. 取引先や上司への丁寧な依頼
・We would appreciate it if you could review the attached document.(添付書類をご確認いただけますと幸甚に存じます。)
・Could you kindly confirm the schedule at your earliest convenience?(ご都合のよろしい際にご日程をご確認いただけますでしょうか?)
【プロの結論】心理的安全性を高めるビジネス敬語の判断基準
組織における人間関係論やコミュニケーション心理学の観点から見ると、言葉遣いはチーム内の「心理的安全性」を左右する決定打となります。
相手の立場を重んじる依頼表現(「〜していただけますでしょうか」「〜幸甚に存じます」)を用いる人は、相手に対するリスペクトと自立的な判断を促す「健全な境界線」を維持できます。一方で、無意識に「するようにしてください」を目上に使ってしまう人は、悪気はなくとも「組織序列を軽視している」「配慮が足りない」という烙印を押され、評価を落とすリスクを抱えます。
【向いている人・おすすめの場面】
・マニュアルやガイドラインを作成する業務担当者
・後輩や部下の育成を担当し、明確な行動指針を提示したいリーダー層
【避けるべき人・慎重になるべき場面】
・上司、役員、顧客、外部パートナーに対して協力を要請する全ビジネスパーソン
・依頼内容に相手側の負担や判断が伴うすべてのビジネスメール・チャット連絡

【するようにしてください】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「するようにしてください」と言われた側はどう返信すべきですか?
A1:上司や取引先から指示された場合は、「承知いたしました。速やかに対応いたします」「かしこまりました。今後はそのように徹底いたします」と簡潔かつ迅速に行動する旨を返答するのがマナーです。
Q2:「してください」を丁寧にしたい場合、「してくださいませ」にすれば上司に使えますか?
A2:「〜ませ」を付けても命令・指示である本質は変わりません。柔らかい響きにはなりますが、目上の人に対して行動を求める際は「〜していただけますでしょうか」「〜お願い申し上げます」と言い換えるのが正解です。
Q3:社内チャット(SlackやTeams)で手短に依頼したい時はどう書くのがベストですか?
A3:過度にかしこまる必要はありませんが、「〇〇の件、ご対応よろしくお願いいたします!」「お手数ですが、ご確認いただけますと助かります」といった形で、依頼の姿勢と感謝を添えるのがスムーズです。
まとめ:言葉選び一つで信頼を損なわないための判断基準
「するようにしてください」は日常的に耳にするフレーズですが、その根底には「指示・命令」のニュアンスが宿っています。目上の上司や取引先に対しては使わず、「ご対応のほどよろしくお願いいたします」「ご確認いただけますと幸いです」といった相手への配慮を含んだ表現に置き換えることが不可欠です。
相手の立場や心理的受け止め方にアンテナを張り、適切な敬語を選択することこそが、ビジネスにおける強固な信頼関係を築く第一歩となります。送信ボタンを押す前に一歩立ち止まり、より丁寧で角の立たないフレーズへの言い換えを実践してみてください。 (出典: する よう にし て ください(Yahoo!ニュース))